よみがえる過去

01

気が付けば、窓から太陽は差込み、まぶしい日差しに私は照らされ、影は二つ壁に映っていた。



「お〜はよ!天使ちゃん♪」

目が覚めると目の前には、目覚まし時計を左手に持った男がいた。

「人の寝床に現れんじゃないわよ!!!」

”ドコッ”

思いっきり突き飛ばした。

その男……”悪魔”は、頭を右手でさすりながら、”いてぇ……”と言っている。

左手に持つ目覚まし時計の針に目をやる。

「うそ……!!!なんでもう9時なの?!昨日8時にセットしたのに!!!!!」

今日は学校は休み。
でも、秘密のあの場所に行くから、8時に起きる必要があった。

なんで8時起きかっていうと……
あの場所に 初めて来たときの時刻が8時30分だったから。

用意して、学校行くと、20分ていどかかる。
だから、8時起きにセットしてたのに!!!!!

「さては……あんた…………。」

ギロリと悪魔をにらむ。

「な…なに????」

冷汗をたらしながら悪魔は私を見る。

「目覚まし時計のセット、取り消したでしょ?!」

傍にあった枕を投げつける。

”痛ッ”と悪魔は小さく言う。

「別にいいだろ??取り消すくらい!!今日休みだし。困ることねぇじゃん!!!!」

悪魔は立ち上がりそういった。

「よくない!!!!!休みだけど困る!!!8時におきないと困るから目覚ましセットしたんじゃん!!!」

ちょっとヤケになって言ってみる。
悪魔はちょっといじけた顔をした。

「……目覚まし取り消したりしてねぇよ。」

斜め下を向き、ボソっと悪魔は言った。
ベッドの上、座ったままの私と、前に立つ、悪魔。
二人の空間は、静かな空気が流れた。

「え……どういうこと……?ウソついたの……?なんで……??」

「だってさ。お前目覚まし鳴ってんのにぜんぜん起きねぇんだもん。オレが起こしてもなかなか起きねぇし。」

…………?????
私、そんなに爆睡してたの?

「だから、そのことはなしたら、天使ちゃんのプライドが傷つくかと思って……」

……。
そんな事、気にしてたの?
悪魔なのに?

…………。

「バカ。」

「えっ。今……」

「バカって言ってんの!!!!!!!」

「!!!!!!!」

悪魔は顔を上げ、驚いたような、悲しいような、そんな表情をした。

「なんで私のプライドなんか気にするの?!なんでそんなウソ付くの?!意味分かんないッ!ホントバカ!!!」

思ってること、言葉にして出した。

腹が立った。

悪魔は悪魔らしく悪いことしときゃいいのに。
そのほうが気が楽なのに。

なんでそんな優しいの?
なんで…………。

「だってさ…………。もう二度と繰り返したくないから……。」

悪魔は重苦しいふいんきのまま言う。

「繰り返したくない……?って……??」

何が……?
二度と繰り返したくない???
なんのこと……??

「天使ちゃん。時にはつらい過去だって、振り返らなきゃいけないこともあるんだよ?」

どういうこと?
さっぱりわからない。
つらい過去?

……あ……。

「どんなに嫌な記憶だって、綺麗に忘れることなんて、できないんだよ?」

……やめて。

「つらいことを乗り越えたのに、忘れたら、意味ないだろ?」

…………やめて!

「オレとすごした時間を・・あの時のようなこと、二度としないって誓うから……!!!」

お願い……やめてっ……!!!
思い出さないって決めた……の……っ……に…………ッ!!!

!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

思い出さないように、封印していたあの頃の記憶が、一気に頭の中を回った。
ぐるぐる回って、何も考えられなくなって…………

気を失った。


覚えてるのは、誰かの声。


01エンド
2009/5/6 : 加筆修正