止まらない涙と怒り

03

みんなが帰った頃に教室にもどり、帰るしたくをして、学校の玄関に行って、
靴を履き替え、まだ少し赤い目をこすりながら、家へと向かった。


その途中で悪魔に会わなかったのが幸運だとも思えた。


「ただいま。」

家には誰もいないよ。
だって、わたしが魔法でつくったニセモノのお家だから。
わたししか住んでいない。
それに、魔女との契約で、四年間天使と話したりしたらダメなんだもん。
ちょっと寂しいけど、もう三年目。慣れたよ。
いつもは返事がない静かなリビングに、今日はなんだか違う気配を感じた。

”悪魔”が”いる”。
直感で感じた。
”会いたくない”

そくざに頭に入ってきたその言葉は消えることもなく、
バッとわたしは家を飛び出した。
でも、もう悪魔にはバレていた。

「ちょっとーー。どこ行くのかなぁ〜?天使ちゃんのお家、ココだろ?」

おちゃらけ悪魔。
でも今は絶対に会いたくないと思っていた。
最低最悪の悪魔。
極悪悪魔。
憎い悪魔。
なんとでも言ってやる!!

「アンタが嫌いなの!どっか行って!」
「えぇ〜?嫌いってひどいなぁ。あ、オレが悪魔だから?天使ちゃんは嫌いなワケ?」

えらそうな口答え。ムカってきた。

「違う!違う!違う!違うよ!!憎いの!!アンタのせいで過去を思い出しちゃったから!!」
「オレのせい?なんでだよ?」
「もう、何も聞かないでよっ!!バカっ!」
「はぁ?天使ちゃん。オレを怒らす気??」

悪魔が、壁にわたしを押し付け、いかくしてくる。
でも、わたしはそんなのお構いナシに、顔を横に背ける。

「へぇ。いいんだ〜。」
「ッ?!」
その瞬間、目の前は真っ暗になって・・。

「え――……?」

わたしはその場に倒れた。

悪魔は何がしたいんだろう。
思考が停止した頃、悪魔は何を考えていたんだろう。

何処かへ連れ去られた被害者のような気持ちで
次に目を開けた時見えた世界に何を感じるだろう―……


03エンド
2009/5/6 : 加筆修正