運命はいつだって、そこにあった
「おはよう天使ちゃん♥」
「言葉の語尾にハートを付けないでくれるかなぁ?」
なんで、また悪魔がここにいるわけ?
しかも、なんで私のこと、まだ覚えてんの?
だいたい、魔界に返したのに、なんでまた戻ってくるの?
そもそも、なんでこんなに慣れなれしいのよ。
私は、いきなり教室に現れた悪魔に、イライラっとした。
「あのさぁ。オレ、今度からこのクラスの生徒なんだけど?」
「は?」
えっと。
……?
このクラス……の、生徒………???
この悪魔が………?
人間と同じ……この学校の、私のクラスの……この組に?
「驚いた?天使ちゃんはオレのことを魔界に 返したつもりだったかもだったけど、全部演技だったんだよ〜。」
演技?私の魔法を受けて、平気でいられたって言うの?!
「ありえない!!」
「おぅ〜!なんだよー。オレは天使ちゃんと違って、 強いの!悪魔だから!」
そんなの自慢になんないって! 私より、強いって?
「はぁ〜????」
「ん??アレぇ?怒ってんの?一チョ前に。」
この悪魔は。
私のことをおちょくってんの?
ただでさえ、イライラしてんのに。
もう、いかり爆発しちゃいそうだよ!!!!
「失せてよ!消えて!あんたを見てると、ウザったいの!あんた、ほんと、意味わかんないッ!!!!!」
私は、2−2の教室で、 大声を張り上げた。
こんなこと初めてなんだもん。
こんな、変なヤツが現れて。
自分が天使だから、 あの悪魔に同情とか、 そんな気持ち現れないように、 必死に嫌って。
何がしたいのかもよく分からなくて。
今だって、あいつを怒鳴りつけて、 勝手に私は怒ってる。
もうやだ。
こいつが現れて、 私は壊れちゃった。
早くかえってよ。
それしかいえない。
別に帰らなくてもいいじゃんとか 自分でも思ってたりするけど ダメなんだもん。
これは、私の試練だから 悪魔のアイツと親しくなるのは ダメなんだもん。
アイツは悪魔だ。 私の試験を 台無しにするに違いない。
だから私はアイツを嫌って アイツとの過去を 忘れようとしているんだ。
「なぁ、天使ちゃん。お前の邪魔はしたくないけど、オレは、自分の意思を通すタイプなんだ。」
「何が言いたいの?!」
頭、くらくらする。
「そんな怒んなくていいからさぁ、ちょっと聞いてくれ。」
悪魔は、すぅっと息を吸い込み、また話し始めた。
「オレさぁ、意思を通すから、結局天使ちゃんの邪魔しちゃうことになるんだよね。」
言い方がものすごーく、ムカついた。
「だから何よっ!」
クラスのみんなの視線が痛い。
なんで見るの?
私がアイツとしゃべってるのがおかしいの?
それとも、アイツのことを初めてみるから、珍しいの?
アイツは今、羽をしまってあるけど、極悪な悪魔なんだよ?
「オレは、天使ちゃんといっしょに過ごすって決めた。」
「はぁ?絶対いっしょに過ごすとかいやだし!」
即答した。
「お願いよ!過去のコトを思い出させないで!」
思い出さないように、封印した過去を。
「この試練を乗り越えないと、一生離れ離れのままじゃんっ!!」
離れ離れになってしまった愛しきヒト。
私は、もう何がなんなのか、分からなかった。
でも、そのとき私は、足が勝手に動いていて。
いつの間にか、クラスの教室を出て、あの秘密の部屋に行っていた。
そしてひたすら、泣き続けた。
「何で泣くんだよ―……」
悪魔の呟きに気付くハズもなく。
脳内に駆け巡る過去を無理矢理引き裂こうとして、裏目に出る。
悪魔なんて嫌い。
だから早く試練を乗り越えて、
会いたいの。
天使に戻るだろうキミに。
02エンド
2009/5/6 : 加筆修正