語る真実と悪魔の想い

02

「じゃぁ……今まで私がやってきたことは……全部あんたのためだったってわけ?」

悪魔のリアは、ただ小さくうなずくだけ。

「じゃ……じゃぁ、わたしはずっと騙されてたの?」

こくん、と、リアはもう一度うなずいた。

嘘でしょ?
そんなわけないじゃん。
全然似て無いじゃん。
しかも、私、ディアが悪魔になったところ、ハッキリと見たんだよ?
どう信じろっていうの?

「似てないじゃん。」

ボソっとつぶやいた。

すると、リアは返事をくれた。

「魔法使って外見変えてたから。」

消えそうなくらい、小さな声で。

「なんでそんな事したの?」

震えてる。声が、震えてる。
今ここにいる感触、立っている感触、何もわからない。
何をしゃべっているのか、自分でもわからない。
でも、ストレートに問い求める。

リアは少し顔をあげ、ゆっくりとしゃべり始めた。

「もう一度、チャンスがほしかったから……」

チャンス?

「あのときのオレは、馬鹿だった。だから―……」

……―"ディア"と名乗り、魔法を使い外見を変え、テンに近づいた―……

「今度こそ、うまくやりたかったんだ。そしたら、テンは振り向いてくれた。」

リアは切ない顔でそういった。

何で?
私がディアに恋したのは……リアとすこしだけ似てると思ったからなんだよ?
リアのこと忘れたいとか思いながら……やっぱり忘れられなかった。

だから。
少しでも忘れるために……リアに少し似ているディアを、好きになった。

リアのしぐさはディアのしぐさだと思い込んで。
全部思い出は捨てて。
その日だけを見ていた。

そんなに苦しかった私のこと、分かってたの?

うまくやる?

そんなこと思うなら、そんな卑怯な手、使わないでよ。
堂々と告白してきてほしかったよ。

「テン―……隠してて、ごめん」

申し訳なさそうに言うリアの姿は、とても小さく見えた。

「やっぱりあんたは悪魔だよ」

そういい残すと、私は部屋を出た。
そして、久しぶりの学校へ向かった。

そして、秘密の部屋に閉じこもった。


02エンド
2009/5/6 : 加筆修正