今宵、貴方は愛に満たされる
兄は悩んでいた。
一生のうちで、こんなにも悩む事は初めてだった。
大切な弟に"俺に任せろ"なんて、そんな無責任な事言っておいて、どうするのか。
ましてや、"リズミ"と、弟の兄…"ミズノ・テェル"とは、敵同士なのだ。
どう接すればいいのだろうか。
兄は、これまでに無い程、悩みまくっていた。
そして、気付いてしまったのだ。
恋心の取り合いを、止めてしまえばいいのだと。
"黒恋団"という組織を、ボス自らの手で、潰してしまえばいいのだと。
だって、弟の初恋を奪ってしまう事など、到底過保護な兄にはできっこない事だったから。
「兄さんは頑張るぞ。ティンカ…!!」
テェルは、握った拳を突き上げ、気合注入をした。
結論を導き出したテェルの頭の中には。
もう、なんとしてでも、"二人を結び付ける"という事しか入っていなかった。
それは即ち―……
"リズミ"と"ティンカ"を、両思いにさせるという事――……。
Xエンド
2009/5/6 : 加筆修正