今宵、貴方は愛に満たされる
「ミズノって……黒恋団で有名な、あの"ミズノ・テェル"?」
「違う。あのオトコは、"テェル"の弟。"ミズノ・ティンカ"よ。お兄さんが黒恋団のボスだとは、まだ知らないようね。」
ミズノ。それは、リズミの敵、悪い奴、黒恋団のボスだった。
「どうする?リズミ。もしも貴方がこの恋を成就させなければ、ティンカの恋心は黒恋団に盗られてしまうわ。」
リズミのイクを握る強さが増す。
歯軋りの音が聞こえる。
「だけどこの恋は成就させられない。私とミズノは敵同士。敵の弟との恋なんてムリだよ。」
いつもと違って、弱気な発言をする。
でもそれも仕方ないことなのかもしれない。
選択肢を選べない、こんな究極の問題は、
これが初めてだったのだから。
Vエンド
2009/5/6 : 加筆修正