今宵、貴方は愛に満たされる
あの人が出てきて、周りは時計が止まったように動かなくなってしまった。
もちろん、結菜ちゃんも。
重苦しい空気が流れ込む。
「貴方の想いを……この人間に伝えればよいのですね。」
女の人は、そういった。
「はい。」
僕は迷わなかった。
「本当にいいのですか?この願いには、貴方の想いを使います。貴方があの人間を想う気持ちは、なくなってしまいます。」
「え―……?……。」
「今ならまだ、やめることは可能です。どうしますか?」
女の人は、不気味な笑みで尋ねてきた。
僕は考えた。すぐに結論はでた。
「やめません。僕の想いが無くなったとしても……僕は悔やみません。」
「いいでしょう。では、貴方の想い……もらいますよ。」
その一言と共に、僕は意識を失った。
Yエンド
2009/5/6 : 加筆修正