小さな小さなタンポポの恋

Yタンポポからの依頼

また、泣き虫になった。
だって、もうずっと、あの子とおしゃべりしてないから。
あの子は、毎日、新聞配達さんを見つめてる。
そんな中に、僕がしゃべりかけたって、無駄だ。
 
どんどん、弱っていった。

ある日、新聞配達さんが、こなくなった。
どうやらバイトをやめてしまったらしい。

あの子は急に元気を失い、強い強いあの子は
へなりと弱々しくなってしまった。
 
その日の夜だった。
僕の目の前に、中学生くらいの女の子が現れたのは。
その女の子は、”リズミ”というらしく
僕の想いや言葉が分かる、不思議な女の子だった。

      ”リズミ”はこういった。

 「もう時期、あの子は”黒恋団”という悪い連中に出会う。
 そして、”恋”の感情を失ってしまう……、というか、そいつらに奪われる。
 その代わり、あの子の想いを彼に届けてもらう。
 でも、もちろん、悪い連中だから、彼に想いを届けるなんてウソ。
 あの子は一生、恋をしなくなる。」

どういうこと?理解ができない。
でも、あの子が危ない、ということは分かった。

 「助ける方法は?!あの子を守りたい!」

僕は、とっさに言った。
あの子が好きだから。
守りたいから。
苦しんでほしくないから。

 「助ける方法……一つだけ、ある。」
 「それは何?!僕、何でもするよ!!!」
 「―…よく聞いて。貴方のその恋の想いを使って、あの子を人間にするの。」
 「え……」

僕の、あの子を想う、この恋の気持ちを使って、あの子を人間にする???

 「つまり、あの子を人間にして、彼と両想いにさせるの。ただし―……」
 「ただし?!」
 「タンポポだったときの記憶は残らない。彼のことが好きだった、という気持ちしか残らない。」
 「そんな……」

   僕としゃべったあのときの思い出も、全て、忘れてしまう???

そんな……

 「やっぱり口だけ?やっぱり弱いまま?何でもするっていったのにね。」

リズミは、僕を挑発するように言う。

 「あの子、明日の夜には悪の組織に頼んじゃうのにね。」

僕は…僕は……

 「いつまでも弱いタンポポでいいの?」

嫌だ…嫌だ…強く……なるんだ!!!!!!!

 「それで…助かるのなら!僕の恋の想いを、使って!!!!!!!」

言った!
僕は、決めた。


リズミは、ふふっと笑うと

 「任せて!!!」

と、自身ありげに答えた。


Yエンド
2009/5/6 : 加筆修正