小さな小さなタンポポの恋

Xタンポポはタンポポが好きだった

そのタンポポは、花屋の一角、
コンクリートと壁の間に綺麗に咲いている、
根性強いタンポポに、惹かれていました。

僕は、あの子とは違い、弱くもろいタンポポ・・。
だからこそ、気付かれないように、いつも身を小さくしていたんだ。

あの子の真上の屋根の上、小さく弱弱しく咲いた僕。
雨が降れば、花びらは何枚か落ち、僕はいつも泣いてしまう。

そんな弱い僕に、初めてあの子が話しかけてくれたのは
丁度一週間前だった。
 
 「こんにちはー!屋根の上のタンポポくん!」
 「こ…んにちは…!!!!」

初めて話しかけられうれしかった。
気付かれないように小さくなっていても
あの子にはばれていたんだね。
僕は、毎日その子とおしゃべりをした。
 
毎日が楽しかった。
毎日が明るかった。
泣くことも、少なくなった。
強くなったのだと、思っていた。

 「いいなー。タンポポくんは。」
 「え……なんで???」
 「だって、屋根の上だから、空が見えるでしょ??」
 「君は、見えないの?」
 「うん……。丁度建物があって……。空というものを、まだ一度も見たことがないの。」
 「ふーん・・・。」
 「一度でいいから見てみたいな―…タンポポくんといっしょに」
 「えっ!!!!!」

僕は、このとき、あの子に空を見せてあげたい、と、強く思った。

その日の夜、、あの子は日の当たらない夜の間に、
誰かにつよく踏まれてしまい、自分では起き上がれずにいた。

ぼくは……。
起き上がらせてあげることができないことに、悔んだ。

そんな時、バイク乗りの新聞配達さんが
あの子を起き上がらせてあげてるところを見た。

そして、すぐに気付いた。

     ”あの子は、あの人に、恋をしている”

タンポポであることを、後悔した。


Xエンド
2009/5/6 : 加筆修正