悪魔の涙

02

「ただいま」

結局、学校はサボった。
別にこれが初めてでもないし、学校側も何も思ってないだろう。

夕方オレンジ色の空の下
歩き家に帰ってきた私。

ドアを開けると玄関には、まじめな表情をした悪魔がいた。

その顔は、いつものおちゃらけ悪魔の顔なんかじゃなく、すごくすごくまじめな顔だった。

一瞬、本当に悪魔なのか、疑ったくらいだった。

「天使ちゃん……」

困ったような表情で私を呼ぶ。

「もしも告白されたら、天使ちゃんなら―…どうする?」

行き成りの質問に戸惑う。


告白されたら?


そんな事一度もない私にとって、そんな言葉を聞くだけでドキっとする。

なんて答えよう。

悪魔に告白されたことない、なんていったら、絶対からかわれるっ!

ここは―……女の意地よ!!!!!!!


「相手によるけど…自分に好きな人がいなくてもいても、私だったら断る。」

「え……」

悪魔は少し驚いた顔を見せるが、すぐにまじめな表情に戻る。

「なんで……断るんだ???」

また質問。

理由…理由…えっと………。
あ、そうだ……!


「好きでもない人と付き合っても、楽しくないから。それに、相手にも悪いでしょ?」

「そ…っか……。」

沈黙。

玄関でこんな暗い話なんて、初めてするよ。

悪魔は一体、何を隠してるの?

しばらくたって、悪魔は悲しそうな顔をして、そしてまじめな顔をした。


「断るとか悪魔みたいなこというなー。でも理由聞いたらなんとなく天使ちゃんっぽい答えだった!それより、天使ちゃん早く中に入りなよッ。」

「え…うん……。」

話す口調……。
悪魔は自分でいつもどおりを気取ってる。
でも、ぜんぜんいつもどおりじゃないよ。

顔が笑ってない。

いつもみたいに、おちゃらけてもいない。

こんなの、あんたじゃないでしょ。

もっとあんたは……。


素敵な笑み、できるでしょ?


何を隠してるの?


何を………。


私の心の中で、何かが動き出した。


02エンド
2009/5/6 : 加筆修正