繋がらない辛さ

03

それから、1時間後。
真っ赤になった目を隠しながら、落ち着きを戻していった。


「好きなんだ……テン。」


「ッ!!」

―……リア。

「お願いだから、ディアのオレじゃなく……リアとして、見てほしいんだ。」

リアは一拍置いて、また話し出す。

「また、昔みたいに、オレを好きに―……」

全部聞き終わらないうちに、私の体が勝手に動いていた。

バンッ

近くにあった机に手をついた。

「これ以上辛くなりたくないよ!!惨めなの!!私ッ……どっちが好きなのかわからないよッ!!!!!」

叫び……そしてまた泣いた。


あれだけ泣いたのに。
まだあふれるの?

涙が止まらない。
リアの姿をみるだけでのどの奥がツーンとする。

そして、涙を堪えるのに必死。

叫んだ反動で、また溢れる。


堪えきれないよ。
溜められないよ。
悲しいよ。
辛いよ。
こんなの嫌だよ。


「オレ……悪魔なんかになりたくなかった……」


え―……?


初めての、リアの、自分の、言葉。

それは、弱音にも聞こえる。


「オレ……天使になりたかった。」


どこか寂しそうな顔。

私の涙がピタリと止んだ。

座り込んだ状態で、リアを見上げている。


「そしたら―……今頃テンと笑ってたのかもしれないのにな。」


リアが苦笑いをした。


「何でオレ、悪魔なんだろう……」


うつむいたリア。


「何でこんなに……ッ」


肩を震わせるリア。


「お互いッ……辛い思い……ッをッ……しなきゃなん……ねぇんだろう……ッ……なッ!」


口調は明るい。
でも、肩を震わせ、うつむいた状態で、髪の間から微かに光る雫が気になった。

リアが―……初めて泣いた。


「オレもわかんねぇや……ッ。」


うつむいていた顔を上げた。
涙はもう流れていないものの、目は赤かった。

笑顔だった。


それが私には、とてもとても苦かった。

そして―……
そして初めて自分に罪悪感を持った。


03エンド
2009/5/6 : 加筆修正