一番やっかいな奴

02

私は今日も、学校へ行く。
新学期、新一年生を迎える会を開いて 、私達二年生は、入学式で合奏をすることになっている。
けど、そんなのめんどくさい。 サボった。

学校の屋上にある、小さな穴。
それは、学校内の秘密の部屋に続いていて 私しか知らない場所で、 今日もその中ですごした。
壁を伝って、いろんな音が聞こえてくる。

今、合奏が始まった。
今、合唱が始まった。
今、拍手が聞こえた。

暖かい日差しが、電気の無いこの秘密の部屋に差し込んで、 ポカポカ、暖かい。
窓ガラスをあけると、屋上の倉庫から見える景色と同じものが見えるけど、 ここはポカポカで暖かい。
だから、全く違った景色にも思える。
雨の日のこの部屋は、なんだかさみしい。
でも、昔はなれた母親の声を思い出す。
雷で怖がっている、まだ小さかった私を、 真っ白な毛布をかけてとんとんって、 それだけで不安がなくなっていったの。

この部屋は少し小さいけど、私一人だったら、 理科室の倉庫ぐらいの大きさのこの部屋も、大きくて仕方ない。
棚に乗っているのは、丸いガラス玉。
綺麗だから、いつもうっとり眺めてる。
そんなこの部屋に、私以外の人が、 入ってくるときがやってくるなんて、 思ったこともなかった。


02エンド
2009/5/6 : 加筆修正