固い誓い

02


私はリアを
ただただ見続けていた。

「テン……オレ……天使の心なんて初めから持ってなかったんだ」

沈黙を破ったのはリアだった。

「だから、オレがディアの姿で悪魔に変えられた時……そして魔女の条件を聞いて……オレは……」

私は黙って、リアの話を聞く。
聞かなきゃいけない気がしたから。
いつまでも逃げてちゃ駄目だと思ったから。

「もう終わりだって……思った。」
「リア―……」
「だけど……あんな無茶苦茶な条件にも……テンはッオレを助ける為だけに……人間界に降りて……」

厳しい表情を見せるリア。

「バカ野郎って、叫びたかった。だけど……魔女に操られていてどうもしようがなかったんだ。」

リアは……ずっと私の事ばかりを考えてくれてたの?

「だから、条件の中の"三年目の悪魔"を利用する事にしたんだ。」

あ―……

"三年目に入った時、悪魔が人間界に送り込まれる"ってやつ……。


「オレは魔女に操られてたけど……一瞬だけ、魔女の魔法が切れたんだ。」

ってことは……操られてたのも無くなったって事だよね……

「ちょうど、三年目だった。オレは本来の姿……リアになって、魔女の前に現れた。」

悪魔の……本来の姿で?

「そしたら魔女は、オレを人間界に送る悪魔として選んだんだ。」

リアは私のために、危険覚悟で……?

「そしてオレは今、ここにいる。」

リア―……

「テンにお願いがあるんだ。」
「?」

リアは笑顔になる。

そして―……

「オレは今、悪魔だけど……一つだけ、天使になれる方法があるんだ。」

まさか―……

「オレに……天使の心を教えてくれ。」

"その悪魔に、天使の心を思い出させ、黒い羽を白い羽へと移り変わせろ"

リアは……契約の―……一番重要なところに……目を付けたんだ……

「お願いだ……オ、テンの傍にいたい……」
「リア……私、できるかどうかわかんないけど―……」

最高の笑みで。

「頑張るよ!」

リアに誓った。


02エンド
2009/5/6 : 加筆修正