大切だったから、逃げたくなった
長い休みに入った。
そのおかげで**と会うことは無くなった。
だけど。
その休みが終われば、また**と嫌でも会うことになる。
迫り来る休みの終わりを
怖いという気持ちに押しつぶされそうになりながら
"アタシ"はまた一日を終える。
長い……せれども短い、休みが明けた。
久しぶりに**の顔を見る事になる。
足取りが重い。
会いたくない。
会いたくない。
会いたくない。
でも運命には逆らえない。
進まないといけない。
鍵をかけたままでは終われない。
ちゃんと迷路を抜け出して、ちゃんと笑顔でゴールしたい。
終わらない迷路なんてあるはずないから。
長い休みを終えた"アタシ"は、
……強かった。
「おはよう」
愛想笑いなんかじゃない。
ホントの笑みで。
そしたら**は、笑ってくれた。
「寒い〜」
「うん、寒いね」
仲のいい、他の子も一緒になって
「じゃー行こっか?」
みんなの足取りが、そろう。
軽い。
とても軽い。
―…そっか。
そういう事。
勝手に迷って、抜け出せなくなっていたのはアタシだけで。
迷いの晴れた今。
もう怖いなんて思わない。
むしろ……楽しい。
今の"アタシ"はきっと
……ホントの笑顔に満ちている。
1エンド
2009/5/6 : 加筆修正