ホントノエガオ

1

長い休みに入った。
そのおかげで**と会うことは無くなった。
だけど。

その休みが終われば、また**と嫌でも会うことになる。


迫り来る休みの終わりを


怖いという気持ちに押しつぶされそうになりながら



"アタシ"はまた一日を終える。


長い……せれども短い、休みが明けた。
久しぶりに**の顔を見る事になる。



足取りが重い。


会いたくない。

会いたくない。

会いたくない。


でも運命には逆らえない。


進まないといけない。


鍵をかけたままでは終われない。


ちゃんと迷路を抜け出して、ちゃんと笑顔でゴールしたい。



終わらない迷路なんてあるはずないから。





長い休みを終えた"アタシ"は、



……強かった。










「おはよう」


愛想笑いなんかじゃない。

ホントの笑みで。

そしたら**は、笑ってくれた。


「寒い〜」

「うん、寒いね」


仲のいい、他の子も一緒になって


「じゃー行こっか?」


みんなの足取りが、そろう。

軽い。

とても軽い。


―…そっか。

そういう事。

勝手に迷って、抜け出せなくなっていたのはアタシだけで。



迷いの晴れた今。



もう怖いなんて思わない。


むしろ……楽しい。








今の"アタシ"はきっと









……ホントの笑顔に満ちている。


1エンド
2009/5/6 : 加筆修正